HTS2020に参加しました

HTS2020に参加しました

こんにちは,大崎研究室修士1年の奥村皐月です.2021年6月22日と23日にオンライン開催された第7回高温超電導体の数値モデリングに関する国際ワークショップ,HTS2020に参加聴講しました.このワークショップは2008年にフランスのナンシーで開催されたことを始めとして,国際的な枠組みで超電導の数値モデリングについて研究発表や意見交換をすることを目的としています.2020年はナンシーで開催される予定でしたが,COVID-19の影響で延期され,先日開催されました.
超電導の応用研究としてモデリングツールやアプリケーションの研究開発は重要なテーマの一つです.高温超電導は熱的,電磁気的に非線形であり,ヒステリシス,異方性,他の機能性材料との相互作用等によりデバイスの動作の設計と予測が非常に複雑になるため,モデリングの開発が求められます.今回のワークショップではモデリング手法,交流損失等のマルチフィジックス問題,航空機用モータを始めとするアプリケーションについて等様々なカテゴリにわたって研究発表が行われており,私自身の研究に対して非常に学びが多くありました.特に電動航空機用モータの解析についての研究が興味深かったです.
世界的な取り組みに準じ,我が国も2050年カーボンニュートラル脱炭素社会を目指し,様々な研究開発も加速しています.グリーン成長戦略の中で,CO2の排出量削減は重要課題であり,運輸部門におけるエネルギー変革はそれらに大きく寄与すると考えられます.国際的に航空分野では2005年のレベルに対して2050年までに50%以上削減するという目標が立てられました.電動化については各国が推進系の概念設計,詳細設計含めていろんな研究開発が行われています.どのように小型軽量化するか,高出力密度化を達成するか,高効率なものにするか,現状のエンジンと少なくとも同レベルの信頼性を確保していくか等が大きな課題です.推進系に電気を使うことになると高電圧もしくは大電流を流す必要性が出てくるため,超電導の技術の活用が必要となります.さらに,超電導は高い磁場を発生させることができるため,小型軽量化を実現することが出来ると考えられています.航空機の形も現在の形状とは異なるデザイン,素材も開発されていくのではないでしょうか.私はそれら寄与する超電導特性の研究に貢献し,頑張っていきたいと思っています.超電導は大きなものを動かすだけでなく,私の大学時代の研究である量子中継器のアルゴリズムにも関係のある量子コンピュータのデバイスとしても注目されており,その他衛星や風力発電,船舶等応用範囲がとても広く,とても興味深い分野です.

先端エネルギー工学専攻HPの管理者

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