おおすみから50年

おおすみから50年

みなさま、こんにちは。鈴木研究室です。このところ、ブログには研究室の学生さんにフレッシュな記事を書いてもらっていたので、今回は教員(鈴木宏二郎)が古い話をしようと思う。

2020年2月11日は日本初の人工衛星「おおすみ」が打ち上げられてちょうど50年ということで、上野の科学博物館で開催されたお祝いのシンポジウムに行ってきた。あれから50年、ずいぶんと時が流れたものだと感慨に耽る時間はほんの少しで、むしろ、これからの宇宙科学や探査、宇宙輸送機はどうあるべきかということを考えるための情報満載のイベントだった。

今日の本題は、宇宙探査の将来ではなく、忘れ去られた古い風洞実験用模型である。木製物体の写真は本郷キャンパス航空宇宙工学科のゲッチンゲン型低速風洞に昔からあるロケットの模型、金属物体の写真は柏キャンパスに極超音速高エンタルピー風洞を立ち上げる際に、ベースとなった駒場IIキャンパス旧宇宙科学研究所高速風洞実験室から何となく持ってきた風洞模型である。本郷にある模型は木製で、いくつかのフィンも取れてしまっているが、明らかにおおすみを打ち上げたL-4Sロケット(今のイプシロンロケットの大ご先祖さま)の特徴を示している。低速風洞用ということは、打ち上げ直後、まだスピードが出ていない時に横風を受けた際の影響などを調べたのであろう。後者は、L-4Sの後継であるM-4Sロケットの超音速風洞用模型の一部だと思う。その証拠にM-4Sロケットが打ち上げた2代目衛星たんせい、または3代目衛星しんせいの特徴ある多面体形状(写真の下の方をごらんください)がついた模型と一緒にしてあった。恐らく、上空でフェアリング(衛星を覆っているロケットのカバー)が分離された後の気流の様子を調べたのであろう。

研究室では今、2021年度に国際宇宙ステーションから放出を目指し、展開型膜面空気ブレーキを使った大気圏突入実験用のナノ衛星BEAK(3Uサイズ、10xmX10cmX30cm)をJAXA宇宙研、日大、東工大他の研究室との連合で開発中である。私は空気力学屋であるが、古い風洞実験模型からも、空気力学と宇宙工学とのつながりを感じるのはうれしい。暇を見つけてこれらの模型を補修してきれいにしてあげようと思う。

先端エネルギー工学専攻HPの管理者

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