バンガロール・インターンシップ体験記

バンガロール・インターンシップ体験記

はじめに
こんにちは、鈴木研究室修士課程2年の河﨑太郎です。普段、研究室ではDeep Learningを利用して航空機の形状変更に対応した衝撃波位置の予測に関する研究に取り組んでいます。今回、2019/8月から9月の終わりまでの2か月間、SETIプログラムに参加し、インド・バンガロールにあるmfine(onlineで医療サービスを提供する会社)においてData Scientistとしてインターンシップを行いました。この記事ではインターンしっぷの体験記と、滞在中に行った旅行について記したいと考えています。

SETI
SETI とは「Student Entrepreneur Training & Internship Program」の略で、東京大学産学協創推進本部教授 各務茂夫先生が中心となり企画された、東京大学の学生にインドのスタートアップ(主にTech Company)にインターンシップの機会を与える今年から始まったプログラムです。今年は私以外にも計6人のメンバーが選出され、夏休み期間中にそれぞれ別の会社でインターンシップを行いました。ヨーロッパやアメリカ、中国に行く機会は度々散見されますが、なかなかインドに行って暮らす機会はないと思います。恐らく、来年以降も開催されると思いますので、興味のある方はぜひ参加してみてください。
バンガロールはインド半島の南の中心に位置し、日本よりも赤道に近いものの、標高が920m(日本の軽井沢と同じくらいの標高)であるため、一年を通して 20°Cを保っており、年中過ごし易い気候となっています。「インドのシリコンバレー」と呼ばれ、GoogleやMicrosoft、IBMといったアメリカのIT 企業の支社や、Flipcartや Olaといったインド発のユニコーン企業の本社があります。

業務内容
私が滞在したmfineは、医療診断サービスを提供している会社です。mfineのアプリを利用することで、患者はわざわざ病院に行く必要がなく、家にいながら医師の医療診断を受けることができます。日本よりも国土が広く、人口の多いインドでは一人当たりの医療診断機会が不足しており、医療診断の効率性が必須となっています。
この会社では日々の医療診断(患者に患部の写真を送ってもらい、その写真を通して医師が診断を行う)を通して、患部のデータが集まっており、このデータを利用して患部の自動診断システムを作成したいと考えていました。私は、このプロジェクトのサブプロジェクトである「皮膚病診断システム」の作成に関わりました。
過去の関連論文を読み、画像処理+深層学習を応用して実装を行い、精度が出る かを確かめ、もし出ていなければ、また別の論文を読むといった事を繰り返し、段々と精度を上げていきました。また、Computer Visionに造詣の深い同僚がいたため、困ったことがあればすぐ意見を聞くことができ、非常に勉強になりました。
皮膚病は医学の素人である私からするとどれも同じように見えるため、自分が作成したシステムがちゃんと診断できるようになった時、感嘆のあまり、「お前すごいなぁ」とパソコン画面に対してつい言ってしまいました。

生活
滞在期間中はホテル(豪華なものではなく、普通くらい)滞在しました。最初の 1 週間までは、オフィスが近くにあったため歩いて通勤していましたが、2週間目からオフィスをより大きな所に移転した都合上、遠くなってしまったので Uber を使って通勤していました。「学生のくせにタクシーで通勤とは…」と思いましたし、何より海外でタクシーを使うとぼったくられるor間違った場所に連れていかれる可能性があったため最初、抵抗がありましたが、Uberは日本のタクシーと比べると非常に安く利用でき、オンライン決済で決まった料金しか支払う必要がなく、また、乗客と運転手の間で評価システムが導入されているため問題なく通勤できました。ホテルでは Wi-Fi がありましたが、電波が弱くてほぼ機能していませんでした。そのため、特にやることもなく手持ち無沙汰であったので、早くオフィスに行き、遅くまでオフィスに滞在する生活を行っていました。食事の面では、ホテルにはキッチンがなかったので困りましたが、会社にカフェテリ アがあり朝食・昼食を社員に提供していたので毎日利用しました。インドでは、誇張ではなく、全ての食事がカレー中心であり、またスパイスが効いているものばかりであったので、日本でも甘口しかカレーを食べれない自分からすると辛かったです。しかし、「郷に入っては郷に従え」の精神で同僚と一緒に、自分だけ大量の水を飲みながら美味しく食事を済ませました。夜は、衛生状況が良くないですが興味に惹かれ、オフィスの前に展開している安くて美味しいストリートフード(fried riceとか)で腹を満たしました。小銭を受け取った手で生野菜を掴み、フライパンに投入するといったなかなかスリルのある手法で調理をしていましたが、特にお腹を壊すことなく、料理を堪能することができました。お腹の弱い自分でも問題なかったので、ぜひバンガロールに行った際は食べてみてください。

面白かった点
●バンガロールではよく停電が起きます。オフィスでコーディングをしていると、急に辺りが暗くなり、パソコンの画面だけしか明かりが残らず、長いときは数分ほど経ってから、復旧します。私は停電をあまり経験したことがなかったので、何事かと驚きましたが、隣の同僚は何食わぬ顔で作業を続行していました。
●自分の短い滞在中、新しくそして大きなオフィスに移転し、また、「Lindein’s hottest Indian start-ups to work for in 2019」のベスト 9 に選ばれ皆でキーキでお祝いなど、急成長中のスタートアップならではの経験ができました。 この経験から自分の中では、急成長していく企業のベンチマークのようなものを作ることができ、良い経験でした。
●勤務終了後、同僚に誘われて、一緒に近所のサッカーコートでフットサルをす るのが慣習でした。そこで、やたら体の大きな、そして大きな声(そのため私は彼を”Yelling Man”と勝手に呼んでいました)で話している社員がおり、自分がゴールを決めると大きな歓声を上げてくれるので仲良くなりました。後日、「彼はでかい声で目立つけど、この会社で何をしてるの?」と同僚に聞くと、「え、知らないの?彼はCBO(Chief Business Officer)で創業メンバーだよ」と言われ驚きました。せっかく仲良くなったので、「どうやって会社を立ち上げたのか?」を前から興味があったので聞いてみると、一介のインターン生にわざわざホワイトボードを使って、一時間近くどうやってビジネスを成功させるかを教えてくれました。
●自分の研究室はCFD(Computational Fluid Dynamics)がメインであるため、深層学習やCVに詳しい人が多いわけではなく、普段は独学で行っていますが、mfineのデータサイエンスチームでは自分で最新論文をゴリゴリ読んで実装しているメンバーがいたので、有意義な時間を過ごすことができました。
●Windowsユーザーが自分以外いなかった。

先端エネルギー工学専攻HPの管理者

0 Comments

Leave a reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*