プラズマ合体実験装置TS-6アップグレードの大型改修作業がひと段落

プラズマ合体実験装置TS-6アップグレードの大型改修作業がひと段落

こんにちは、専攻教員の田辺です。夏休みに入りましたね。期末レポートや中間審査の繁忙期も落ち着き、お盆休みでほっと一息つかれているところでしょうか。こちらの研究室でも、春先から開始した装置の大型改修がひと段落を迎えて、研究室全体としても夏休みに入ったころです。作業をやり切った後の研究室の皆さんのとてもいい写真が撮れているのでそちらを交えて最近の研究室の動向を紹介したいと思います。

今回こちらに載せた写真は、TS-6というプラズマ合体実験装置の真空容器の内部と外部の写真と全体構成の断面図を3D-CADから出力したものです。S1S2タームにかけて真空容器のセンターコイルとTFコイル結線を全て取り外して容器の大蓋を開け、内部に設置するセンターコイルと錯交するPF(ポロイダル磁場)コイル群のアップグレード工事が行われました。昨年度までは球状トカマク専門の実験装置として稼働していましたが、今回の工事ではフラックスコアと呼ばれるPFコイルに局所トロイダル磁場注入のための巻き線が追加された新しいコイルがインストールされ、今後は宇宙プラズマのスフェロマック配位(電流Jと磁場BがJ //Bを満たす無力磁場配位)なども生成可能となる予定です。トロイダル磁場を逆転させたスフェロマックプラズマどうしの合体によってトロイダル磁場が全く存在しない逆転磁場配位(FRC)なども生成可能となるため、安定な運転領域に限らず不安定現象を引き起こしやすいレンジまで幅広いダイナミックレンジでのオペレーションが可能となり、学術的にもより幅広いテーマでの研究が可能となります。

TS-6実験には現在小野靖研のメンバーと合わせて約20名ほどの学生が研究に参加しており、頼れる博士学生が7人と大変心強い状態となっています。現場で自分で考えて動ける学生も多く、各々の研究テーマに関するところはもちろん、装置全体の大型改修の現場でも機動的に声を掛け合って動いてくれて、研究室活動は学生の活躍によって支えられています。プラズマ研究は一度実験が始まると長期にわたって電磁気と物理を徹底的に詰めていく分野ですが、装置構成を大きく変える今夏は、装置を構成する各種重量金属フランジ群のクレーン作業から、真空装置内部設置機器のリークテスト/改善のための改修作業、スタッドボルト溶接その他まで機械系ノウハウも総動員しての活動となりました。作業は大変でしたが、自分達が利用するプラズマ実験装置がどのように構成されているのかに習熟し、あとは設計ノウハウの肝さえつかめれば自分達でも装置が設計できそうな…ほぼ全体像を把握できた日々だったのではないかと思います。

さて、写真に戻りまして、ちょうどこういった大型改修がお盆前に大きなひと段落を迎え、タイムリーな時期でしたので専攻ブログで紹介させていただきました。作業後の真空装置内部のエンド側には作業がひと段落してにっこり笑顔の学生の表情が見え、最後にセンターコイルを入れて大蓋を閉じきった後の博士学生陣の写真からはやり切った充実感がひしひしと伝わってきますね。皆さんお疲れさまでした。良い夏休みをお過ごしください。

先端エネルギー工学専攻HPの管理者

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