ケンブリッジだより

ケンブリッジだより

卒業後や在学中に海外で研究や勉強をしたいと考えている方も多いと思います。今回は、2016年に学位を取られて、ケンブリッジ大学で活躍している研究室出身の山下さんに今の研究生活を紹介してもらうことにしました。(鈴木宏二郎)
こんにちは。ケンブリッジ大学でポスドクをしている山下です。海外の大学の話を聞く機会はあまりないと思うので、現在所属しているケンブリッジ大学についてお話ししたいと思います。ケンブリッジはロンドンから電車で1時間弱の場所にある街で、ケンブリッジ大学は歴代最多のノーベル賞受賞者を輩出していることで有名ですが、日本の大学と大きく違う点は、カレッジ制を採っていることです。全部で31あるカレッジはケンブリッジの街に点在し、入学者の選抜はカレッジ毎に実施され、学生はいずれかのカレッジに必ず所属しています。各カレッジには、講義を行う教室の他に宿舎や、食堂、教会などがあり、学生はカレッジに住み、カレッジを拠点に生活を送っています(大学院生になると、シェアハウス等に住む人もいますが)。カレッジでは、講義だけでなく、様々なイベントがあり、6月にはMay ballと呼ばれる夜通しカレッジで行われるパーティがあったり、夏にはシェイクスピアの劇を見たり、川べりでコンサートがあったり、今の季節だとハリーポッターに出てくるような食堂(あれはオックスフォードのカレッジですが)でクリスマスディナーを取ったりと、学生や大学スタッフがケンブリッジでの生活を楽しめるようになっています。
さて、私の所属している物理学科の数値解析研究室ですが、ポスドクが5名、大学院生が約30名(内PhDの学生が20名以上)所属し、大半は大学あるいは研究室から給料を貰いながら研究をしています。物理学科といってもボーイングなどの企業と共同研究を積極的に進めているので、どちらかというと工学寄りの研究をしていて、主にマルチフィジックス問題を扱うための数値解析手法を構築し、実際の問題に適用していくといった内容の研究をしています。私自身は、鈴木研の学生時代から取り組んできたソニックブーム(超音速機から発生する衝撃波が地上に爆発音を発生させる現象)の直接シミュレーション手法をさらに発展させる研究を進めています。研究室には企業や大学からのビジターが頻繁に出入りしており、中には数か月程度滞在する方もいます。また、セミナー等はよく実施されているので、日本の教科書にも出てくるような有名な先生がその辺をうろうろしたりしています。日本の大学と比べて、ポスドクの人数やPhDの学生の数が圧倒的に多いので、研究のディスカッションは勿論、研究室のメンバーだけで大きなプロジェクトに取り組むこともでき、研究していく上では非常に恵まれた環境ではないかと思っています。
最後に、ケンブリッジ大学の学生は多国籍で、英国出身者の割合は決して高くありません(私の所属している研究室の場合、2割程度です)。街を歩いていて日本人に合うことはほとんどありませんが、ケンブリッジ大学には日本人の学生もいますし、短期のビジターとして来ている研究者の方もいるので、ケンブリッジに興味がある方は調べて、アプライすると貴重な経験ができるかもしれません。(写真はトリニティカレッジにあるニュートンのリンゴの木です)

先端エネルギー工学専攻HPの管理者

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